空になりたかった海
次に目が覚めた時には、時計は昼前になっていた。

携帯が鳴っている。


ぼんやりしながらも、電話に出ると

「光さぁん」

と、ナツの変わらぬ元気な声がした。



「何してるかなぁって思って電話しちゃった」


「風邪ひいて寝込んでる」


「ほんとだ、ひどい声」

ナツが、少し笑ったような声で言った。
その明るさが心地よい。

「ねぇ、苦しい時に悪いんだけど、少し話していい?」


少しも悪いと思ってなさそうに、ナツは言う。

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