子供じゃない。
6
母さんの最後の帰宅は八月も終わりに近付き、こよみのうえでは秋だった。

天候は陽射しがつよく、秋を感じるのは日暮れに夕凪だった陽気も肌寒く感じるようになったことだろう。

ぼくたち四人は最後の家族旅行にむかっていた。

最後だと…………感じていたのはぼくだけで、父さんは確信しているはずで、弟は、ただ、温泉に旅館に旅行だと喜んでいた。

だけど、弟も、薄々は気付いていたのかもしれない………いつも以上に母さんにべったりだったから。
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