ジェネシス(創世記)
ユダ王国のブアム派は世襲制により、国王の後継者選びは簡単だった。ラエル王国のヤロブ派は、一0士族の中から国王を選んだため、政権交代には血を流すことが多く、不安定な状況が続いた。そんなもろい国は当然、他国からの侵略を受けやすいはずだ。

 モン国王は、三00人以上の女性を愛した。けれども私は、モン国王をだれよりも愛した。大勢の女性と関係をもっても、私はモン国王を影ながら支えてきたつもりだ。

 モン国王の紹介で、私は今の主人と結婚した。出産した後も、「専業主婦」の道を進まず、私は精力的に仕事に励んだ。

赤ん坊を職場におんぶしてまで、仕事をこなした。モン国王に直接掛け合って、ラエルハウス内に「託児室」までも設置させた。

 私とモン国王は親友だった。配偶者以上に、すみずみまでお互いを知り過ぎていた。あまりにも、近すぎた。

だから私は、愛人の一人にもなれなかった。モン国王は多くの家族に見守られて、病に伏せて亡くなった。私はあなたを崇拝します。お慕い申し上げます。


< 152 / 375 >

この作品をシェア

pagetop