ジェネシス(創世記)
私にも、唯一の希望がある。私の遺伝子、子供達よ。私の愛する、大切な「生命」。私に、数十倍の生きる勇気を与えてくれた。

子供たちの存在が、私を強くしてくれた。子供達のためであれば、私は全財産を投げ出してでも後悔はしない。

 モン国王は金銀・宝石など、あらゆる財産を宮殿の中に納めていた。その財産は莫大なものだ。けれども、私にとってかけがえのない財産は、「子供たち」だ。

たとえ子供たちが犯罪者になっても、私は見捨てたりはしない。「主」から見捨てられても、私は見放したりはしない。なぜなら、私は「母親」だからだ。

 理知的で武術に優れた長男は、モンの息子ブアム国王の補佐官となった。繊細で思慮深い次男は、司祭者の道を歩んだ。

文学的才能のある可愛い娘は、ブアム国王の子供達の「教育係」に任命された。娘の手によって、新たな「聖書」が書き残されることであろう。愛する子供達よ、私はいつもそばにいます。 

「主はここにある。母は、ここにある」

●「第七章 二つの祖国」へと続く。
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