ジェネシス(創世記)
ネプ二世は、バビロンの都市開発に全力を注いだ。この時、四人の有能なユダ人を官僚として迎えた。ヌヤ・ミル・ルヤそして「ニル」である。特にニルは、一際輝いていた。バビロンでは、例え奴隷でも能力のある者を尊重していた。

 都市の道路整備が進んだ。馬車の荷台から、天然アスファルトが落ちた。その上を、後続の馬車が踏んだところ、これが固まった。

それからというものの、ユダ人の知恵と技術で改良が行われ、舗装道路が敷かれるようになった。エナメルレンガで作られた、巨大な門「イシュタル」も、ユダ人の技術者と奴隷たちによって建造された。

「ジッグラト(聖塔)」が、ユダ人の設計により建設された。底辺が九0メートル四方で、高さ九0メートルの七層からなる構造だ。

「空中庭園」も王妃のために造った。高さ一五メートル、縦横四00メートルの基盤上に高さ一一0メートルの巨大な庭園を建築した。

 ニルは夢占いが得意であり、ネプ二世の夢を説き明かした。「純金」はバビロニア帝国(独裁政治。一人の支配者が決定し実施すること)を象徴した。「銀」は紀元前五三九年、ペルシャ帝国(寡頭政治。少数の人々が国家権力を掌握すること)が支配する。

「青銅」は紀元前三三三年、アレクス大王がギリシャ帝国(貴族政治)を支配する。

「鉄」は紀元前八六年、エサルがローマ(平民政治)を支配する。

「粘土」は、国土が狭く国王もいない、宗教も民族意識の乏しい団結力のない世界(民主政治。国家の主権が人民の意思によること)である。それは「国際連合」を中心とし、影でアメリカが支配する民主主義、資本主義のことだと語った。

「砂」は、世界の人々が国家を失い、少数の人々で構成される組織だ。それは二四六0年頃、「最後の審判」の後に組織が形成されるであろうと予言した。ニルは、「アカシック・レコード」と接触してしまったようだ。

「最良の予言者は、過去なり(バイロン)」 

 ニルは、ユダ人の教訓としてある物語を作った。ネプ二世が建てた金の偶像を崇拝しなかったために、ユダ人の三人を、燃えさかえる炉の中に放り込んだ。

その中では、一人の天使に見守られながら平然と三人が歩き回っていた。例え大火の中でも、「主」を信ずる者はいかなる状況下であろうとも克服できるという、戒めのようだ。



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