ジェネシス(創世記)
ユダ教

 ロス二世がペルシャ帝国の国王となり、バビロンに入城すると、ユダの民たちは彼を心から歓迎した。民たちを解放したのだ。

それだけ、バビロニアの独裁者の圧政に苦しめられていたのであろう。ロス二世はバビロニアの人民や奴隷、特にユダ人に対してはとても寛容であった。ユダ人の宗教や習慣を重んじ、エルサレムに帰還することを許した。

 けれども、モズの時代にエジプトを恋しがる奴隷たちがいたように、ユダの民の中にも生まれ慣れ親しんだバビロニアの土地に残留する者も多かった。

ロス二世が寛容なのは、人権を尊重するためだけではない。本心は、ユダ人の技術力・商才・知的な能力を利用したいからだ。

 紀元前五三八年頃、祖国エルサレムに戻った民たちは神殿の再建を始めた。エルサレムに居住し異民族で構成されていたサマリア人は、その再建には当然反発した。

 紀元前五一五年、ユダの総督ゼルと司祭者イエアの指導のもとで、第二神殿が完成した。

それから数百年、司祭者のエラがエルサレムで布教を始めた。荒廃したユダ人のために、律法(トーラー)を解説して回ったのだった。

さらに城門、城壁を修復するために、総督ネヘがその復興に尽力を注ぐのであった。この二人の貢献によって、「ユダ教」が成立するように至った。

 
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