ジェネシス(創世記)
「光あれ」

紀元前六年、宇宙の遥か彼方で超新星が爆発した。それはダデ国王の出身地の名称から、「ベツレヘムの星」と名付けられた。

ダデ国王の直系の子孫、イゼス・クリストスが生まれた。イゼスの偉業を、私は書き記す気はない。イゼスの弟子たちがきっと、「新たなる約束の書」として書き残すことであろう。

 私はまた、気になる夢を見た。「契約の箱」を開封し、その絶大な力を行使するのは「救世主」だが、イゼスではない。

その「救世主」とは紀元二四六0年頃、遠い未来に登場するらしい。東にある中立的な国から、誕生するようだ。だがその人は、ユダ人ではない。

 けれども、その「救世主」の姿が夢の中でも見えてこない。なぜか、その先の人類の未来が見えてこない。

「アカシック・レコード」の予知は、その時点で終わっている。「救世主」は誕生することなく、「最後の審判」によって人類は最期を迎えようとしているのか。

「主」とは何者なのだ。「神の国」とはどこにある。「主」は滅亡する人類の魂を、天国に招くつもりなのか。

「主」が求めたのは、もしかすると宗教ではなく、「科学技術」の発展だったのかもしれない。ユダ人を「神の国」へ行かせるために、契約をしたのか。

「主」よ、何を企んでいる。未来の人類を、どこに導こうとしているのだ。「神の国」に、何がある。

 ユダ人がもし、「主」との契約を破った場合、「主」はいかなる裁きを下すつもりなのだろうか。「主」は、恐ろしい災いを用意しているような気がする。

 モン国王の時代に書かれた聖書には、財宝を隠した「地図」が納められていると噂された。私にも、大切な財宝がある。

聖書よりも、かけがえのない財産だ。それを守るためなら、私が書いた聖書を破棄してもかまわない。妻と子供たちよ。

「主」よ、私はあなたを信じたい。未来のユダ人を、未来の人類を祝福して下さい。

●「第九章 クリストスの世界」へと続く。


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