ジェネシス(創世記)
第三章 約束の大地
第三章 約束の大地

「私と人との間に契約を立てたならば、二度と洪水によって肉体を滅ぼすことはない。  洪水によって、大地を滅ぼすことはない(創世記)」

 私は今、イムの亡きがらを埋葬しようとしている。シャレコウベ(風雨にさらされた頭骨)のような小高い丘の上で、葬ることにした。

 イムはノエルの直系の子孫である。薬草から抽出した、痛みを静める薬の研究をしていた。けれども、自分で調合した毒草で薬殺された。

 新しい国王パダとその弟のバール将軍によって、イムを反逆罪に陥れて囚人にしたのだ。囚人は、国王の毒味役の仕事をしていた。イムは罠にかけられた。毒入りのワインを飲まされ、イムは殺害されてしまった。

 私は、イムの祖先から語り継がれてきた歴史を、子孫たちに伝えなければならない。それが「主」から与えられた、使命なのだ。

私が生まれてきた、証なのだ。後世のラエル人のために、私は祖先たちの功績を「聖書」に書き記す。


< 48 / 375 >

この作品をシェア

pagetop