蝶々結び
「七星♪」


不意に部屋のドアが開いて、創太が入って来た。


「あれ……?早いね」


彼は何かを企んでいるような笑顔を見せながら、あたしの傍に座った。


「髪、やったるわ♪」


「そんな事出来るの?」


不安になりながら創太を見ると、彼は何も答えずにあたしの髪を触り始めた。


「ちょっ……!」


「黙って座っとけ!」


もし失敗されたら、直す時間なんて無い。


あたしのそんな不安を余所に、創太がさっき渡したアイロンやスプレーを使って髪を結い始めた。


「ねぇ、創太ってば!」


あたしが呼んでも、彼は返事もせずに鼻歌混じりに髪を触り続けた。


呆れながらも、創太の指先があたしの髪に触れる度に少しだけくすぐったくて…


それが、何とも言えないくらいすごく心地好く感じていた。


< 129 / 494 >

この作品をシェア

pagetop