蝶々結び
「でも……さっきの舞は、今までで一番綺麗やったで!」


「おばちゃんもそう思うわ!」


神主さんと奥さんは、口々に言った。


だけど…


あたしはもう、『星の舞』を踊るつもりは無い。


「七星ちゃんは、小学生の時からやってるやろ?もうちょっと続けて貰えへんかな?」


「それに、まだ17歳やんか!今までの人達も、ハタチくらいまでは踊ってたんやで!」


神主さんがあたしに頼んだ後、奥さんも言葉を付け足した。


「本当にごめんなさい……。あの、でもあたしは……」


あたしは最後の言葉を濁して、二人に頭を深く下げた。


神主さんと奥さんは寂しそうに笑った後、部屋から出て行った。


部屋に置いてある服に着替えてから、離れを出ると…


「七星♪」


玄関の前に、上杉先生と創太が並んで立っていた。


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