蝶々結び

「何か……変だよ？創太、いつもと違う感じ……」


創太を見ると、彼はあたしにチラッと視線を送ってからまた前を向いた。


「うん……。俺もそう思うわ……」


「創太が元気ないと、あたしまで調子狂うじゃん……」


「俺が元気やったら、お前も元気になるんか？」


「えっ？」


予想もしていなかった切り返しに、少しだけ考え込んでしまった。


創太が元気が無いと、あたしも調子が狂う。


だけど、彼が元気になったらあたしも元気になる、って言うのは…


たぶん、違う気がする。


「う〜ん……。よくわかんない……」


正直に答えて、創太の横顔を見た。


夜空の下にいる彼の蜂蜜色の髪が、キラキラと光って綺麗。


まるで、お月様みたい……


あたしは、吸い込まれるように創太を見つめていた。