蝶々結び
昨日はあのまま泣きながら眠ったせいで、今朝は目が腫れていた。


洗面台の鏡に映る自分を見て、一気に気分が重くなってしまった。


「どうしよう……。昼から予備校なのに……」


あたしは誰もいないリビングでポソッと呟いて、ソファーに身を沈めた。


別に、休んでも問題は無い。


だけど、今日は家にこもるのが何となく嫌だった。


憂鬱な気分を忘れたくてソファーでもう一眠りしようとした時、携帯の着信音が鳴った。


ディスプレイには、【上杉先生】と表示されている。


終業式以来、連絡を取っていないままだったし、創太の事もあるから、今は上杉先生と話すのが気まずい。


だけど…


これ以上は気まずくなりたくないよ……


そんな気持ちと上杉先生に縋りたくなっている甘えが、いつの間にかあたしに通話ボタンを押させていた。


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