蝶々結び
少しの間考え込んでいた上杉先生は、困ったように笑った。


「俺達の事が周りに秘密なのは、ちゃんとわかってるよな?」


「はい……」


小さな声で返事をして、そのまま俯いた。


やっぱり、当たり前だよね……


「お前は白田の事、信用出来るのか?」


「え……?」


上杉先生の言葉にゆっくりと顔を上げて、目を見開いた。


「どうなんだ?」


そう訊いた先生は、真剣な眼差しであたしを見つめている。


「出来ますっ!!」


その視線に、迷う事無くキッパリと答えた。


上杉先生はニコッと笑うと、あたしの頭を撫でた。


「白田にだけだからな!」


「うんっ!!」


あたしは大きく頷いて、笑顔で上杉先生を見つめた。


顔を見合わせて笑ったあたし達は、ベンチから立ち上がってまた歩き出した。


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