蝶々結び
「りょっ……りょー……」


『良平』。


そのたった一言だけなのに、上手く言葉が出て来ない。


「無理?」


「ごめんなさい……」


「じゃあ、罰ゲームだけど?」


「罰ゲーム……?」


上杉先生の言葉に疑問を感じて、小首を傾げた。


「どっちがイイ?」


運転している先生の横顔を見ながら、少しの間考えてみたけど決められない。


「罰ゲームって何ですか……?」


「それは秘密」


「内容がわからないと決められません……」


「内容がわかったら、つまらないだろ?」


「え〜……」


あたしは眉を寄せて、また考え込んだ。


先生の名前を呼ぶ……?


それとも罰ゲーム……?


「じゃあ……」


渋々答えを決め、信号待ちになったのを見計らって口を開いた。


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