蝶々結び
「さっきも先生って呼んでたけど、何か視線浴びるんだよな……」


「でもっ……!」


まだ恥ずかしさに勝てないあたしは、未だに上杉先生の事を名前で呼べない。


「嫌?」


「違いますけど……」


頬が熱くなるのを感じて、思わず上杉先生から視線を逸らす。


「てか……俺の事、名前で呼んで欲しいんだけど……」


「え?」


慌てて視線を戻すと、頬を少しだけ赤く染めた上杉先生がいて、胸がドキドキと高鳴り始めた。


「ダメ?」


「ダメ、じゃないです……」


一瞬だけ戸惑いながらも、正直な気持ちを零すと…


「じゃあ、呼んでみて」


子供のみたいに無邪気な表情になった上杉先生が、笑顔で言った。


「じゃあ……」


「はい、どうぞ♪」


小さく深呼吸をしてから、怖ず怖ずと口を開いた。


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