蝶々結び
「なぁに?」


優子は、屈託の無い笑みを向けながら訊いた。


「先生の事なんだけど……」


「あぁーっ!!」


途中まで言い掛けると、突然優子が叫んだ。


その瞬間、周りにいる人達が一斉にあたし達を注目した。


「えっ!?えっ!?何!?」


驚いたあたしは、半ばパニックになりながら尋ねた。


もしかして、もうバレてる……?


不安になりながら優子の言葉を待っていると、彼女がどこかバツが悪そうに笑った。


「あたしさ……この間、彼氏出来たんだよね!」


優子は照れ臭そうに言うと、はにかんだ笑顔を見せた。


「彼氏……?」


「何かさ、あれだけ先生の事が好きって言ってたのに!って感じなんだけどね……」


優子は言い難そうに前置きをすると、彼氏が出来るまでの馴れ初めを笑顔で話し始めた。


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