蝶々結び
上杉先生と会えた、卒業式の日――。


気まずさが先立ってしまったせいで、父には自分から言う事は出来なかったけど…


その日のうちに母が話したらしくて、翌日には父が笑顔を向けて優しくこう言ってくれた。


「本当に良かったな」


その言葉を聞いて、自分で話さなかった事を少しだけ後悔してしまったけど…


それでも込み上げて来る嬉しさを隠せずに、笑顔で頷いた。


もちろん、優子にもその日のうちに電話を掛けた。


上杉先生との事を話すと、彼女は自分の事のように喜んでくれた。


「良かったね!」


そして何度もそう言いながら、少しだけ泣いてくれていた。


あたし達の事はずっと秘密だったから、祝福してくれる人達がいる事が本当に幸せだと思えて…


泣いてくれた優子に釣られるように、あたしからも涙が零れたんだ――。


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