蝶々結び
「気にすんな♪」


「えっ?」


あたしは弾かれたように顔を上げ、笑顔を向けてくれた上杉先生を見た。


「人間だもんな!そういう時もある!お前は真面目だけど、感情表現が下手だからな……。きっと、色々あるんだろ?」


先生はそう言って、あたしの頭を優しく叩いた。


その瞬間、胸の奥がグッと熱くなったような気がした。


ずっと、誰かにそう言って欲しかった。


真面目な所に不満は無いけど、上手く感情が出せない事にいつも苦しんでいた。


『須藤さんは優等生だから』なんて言葉で片付ける人達に、うんざりしていた。


だけど…


上杉先生は、あたしの心の声にちゃんと気付いてくれた。


自分(アタシ)をわかってくれる人に、初めて出会えたような気がする。


「ありがと……ございます……」


あたしは、微かな声で呟いた。


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