ぼくの太陽 きみの星
「これ以上意地を張っても、無駄なんだ」



「………?」



無駄?



「無駄って?」




「――もうあの家にお兄さんはいないから」




「………え?」



「お兄さんは出てったよ。

どこへ行ったのかはわからない」



「う……そ……」



持っていたポテトが指からぽとりと落ちた。



「家を出る前に、ぼくに話をしに来てくれた。

未怜ちゃんを……

その、よろしくって」



――あたしを、よろしく?


鷹耶が?



「すべて、終わったんだ。


……だから、このまま帰ろ。


ぼくも一緒に行くから」

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