俺様☆姫様★王子様 【完】
ガチャ…
だからあたしは、今日も素っ気ない顔で扉を開けるの。
それなのに蓮ときたら、絶対笑顔なんだよね。
しかも、"レン"の。
「あー疲れた。」
「どうしたの?」
変装用のキャップとサングラスを外しながら、リビングへ勝手に上がり込む。
これも、もう馴れてきたし。
「今日学校は?」
そうだよ。
どうして変装してたの?
キャップはともかく、サングラスはまだしなくても良くない?
首を傾げて聞くあたしを横目に、蓮はソファーへ腰掛けた。
あたしはアイスコーヒーを入れる為にキッチンへ向かう。
「今日は朝一で現場入ってた。超朝早くて俺死ぬかと思ったし。
つか、俺居ないの気付かないとは良い度胸してんじゃねぇか!」
いやいや……。
あなた3年生ですよね?
あたし1年生ですよ?
わかる訳無いじゃない。
「1年と3年って校舎違うからわかんないよ。」
「校舎違うくてもわかるし。お前、俺向かいの校舎だぞ?見えんだろ。」
へ?
そうなの?
あたし知らなかったよ。
思わず氷を取る手が止まっちゃった。