Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
帰り拓哉は家まで送ってくれた。
七時過ぎはうちの夕飯の時間だからママが、夕飯食べていきなさい。って誘ってたけど拓哉はそのまま帰ってしまった。
「拓哉くん何だか最近元気ないように見えるわね。」
ママがそう心配そうに呟いて、私も少しだけそう思った。
拓哉は悩みとか愚痴とかを私には話してくれない。
いや、もしかしたら誰にも話さないのかもしれない。
「にしても、最近は日が長くなったわね。もうじき夏が来るのね。」
沈む直前の夕陽を見ながらママがそうつぶやく。
そうだ。またあの暑い季節がやってくるのだ。
私は拓哉が見えなくなるまで、その背中を見送った。
今日楽しかったのか、つまらなかったのか、その背中からは何も読み取れなかったけれど。
拓哉も私みたいに少しはスッキリしてくれていたら良いな。とそう思ったりもした。