Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜

『キーンコーン……』

優斗との約束のある放課後になった。

私が優斗を見ると、優斗は右手を広げて「少しだけ待って」と合図を送る。

それを受け取った私が小さく頷く。

「琴音、ほんじゃね。」

「うん、ばいばい。」

最近、美穂はずっと彼氏と一緒にいるみたいだ。

いつも2人で手をつないで帰っていくのを見かける。

2人とも凄く幸せそうで……


そうだよ。




恋って幸せなものなんじゃないの?


どうして――









私の恋は胸が張り裂けてしまいそうなほど、こんなにも苦しいのだろう。




< 68 / 195 >

この作品をシェア

pagetop