Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
『キーンコーン……』
優斗との約束のある放課後になった。
私が優斗を見ると、優斗は右手を広げて「少しだけ待って」と合図を送る。
それを受け取った私が小さく頷く。
「琴音、ほんじゃね。」
「うん、ばいばい。」
最近、美穂はずっと彼氏と一緒にいるみたいだ。
いつも2人で手をつないで帰っていくのを見かける。
2人とも凄く幸せそうで……
そうだよ。
恋って幸せなものなんじゃないの?
どうして――
私の恋は胸が張り裂けてしまいそうなほど、こんなにも苦しいのだろう。