雲間のレゾンデートル
「お嬢、着替えは脱水場に」

「ねぇ隆ちゃん…見てよ?」


 ね?って自分で出来る限り可愛らしい感じを意識して小首を傾げる。

 自分の頭の後ろ、斜め上から見下ろすような気分だ。

 たぶん、『幽体離脱』とかして自分の体を見下ろしたらこんな感じなんだろうなーってぐらいの客観的な感覚。


 だから『怖い』なんて気持ちは1つも感じない。


「お嬢、馬鹿な事は止してくだせぇ」


 ジリジリと下がる隆ちゃんに気にせずあたしは足を進める。

 隆ちゃんが下がった分だけあたしが進む。
 あたしが進めば隆ちゃんは下がる。

 だけど動ける距離は無限じゃない。

 和室を出て廊下に出てしまえばもう後ろはないから。
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