【天使の片翼】



・・相手が年下ってのも、驚いたけど、

結婚が決まったわけじゃなくて、候補、だったなんて。



詳しく話を聞くと、二人を今すぐ結婚させるわけではなく、

半年ほど滞在させて、お互いの相性をみてから、どうするかを正式に決めるというのだ。


まったく、自分の父は、いつも一言足りない。

いや、わざと全ての情報を明かさない。


そうして、こちらがてんてこまいするのを、影から眺めて笑っているのだ。

俺は、嘘は言っていない。訊かなかったお前が悪いのだ、と。


「まぁ、ほんとうに、素敵ですわ!」


侍女の声で我に返り、ファラはそれが、自分を褒めた言葉だと知って、

ありがとう、と礼を言った。



・・さて、後ろ向きなのは、性にあわないっ!



「あの、ソード様にお会いしたいのですが、どこにいらっしゃるでしょう」


ファラにしては珍しく、7日の間、痺れを切らせて待った。

待ち人が来ないなら、こちらから訪ねるまでだ。


とりあえず会わなくては話しにならない。

結婚を蹴られるにしても、納得できるだけの理由が必要だ。








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