飛べないカラスたち



『カイン、本当にごめんなさい…こんなにも連絡が遅くなってしまって……』



「兄さんは、今何処にいるの?」



『教会、です。大主教様に救っていただいて、今は神学徒としてここで生活しています』



別れてもまともな道を歩んでいけた兄と、堕ちた自分。


今はもう兄の手を掴むことさえ出来ないほど、この両手は汚れてしまった。



『カイン、明日会えますか?土曜日ですし、学校はないでしょう?』



「え、明日…?」



『都合が悪いですか?』



ルックは暫く考えた。


明日、兄に会って気持ちが傾いたら兄のほうへ付いていこうか、それとももう会わずに友と一緒にこの地区を離れるか。


しかし逃げたら、自分の犯した罪を償う機会を失い、捕まった時には死刑は確実だろうか。


ならば最後に兄に会っても良いのでは。


ふと、先ほどのレイの言葉が頭の中に反芻された。



「兄さん、教会にいるんだよね…?」



『はい。そうです……』



それである。



< 67 / 171 >

この作品をシェア

pagetop