最後の夏~Last★Summer~
─長い練習が終わり、
俺は祥平さんと2人で自主練。
「あと20日だな。お前と
こうやって練習するのも」
祥平さんはそう言って
俺の顔を見た。
「上崎にはまだあと2年ある。
俺等が甲子園に行けなくても
お前は絶対甲子園に行け!」
「…え…。絶対なんて無理っすよ…」
俺は少し困ったように答えた。
「上崎。その野球の才能は
甲子園レベルだよ。俺等が引退して、お前がこのチームを引っ張ってほしい」
─俺が…このチームを?
「や…俺まだ1年ですよ?」
祥平さんの言葉に焦りながら
答えると祥平さんは少し笑って
俺に頭を下げた。
「悪い(笑)まだお前には
荷が重すぎたよな。」
「…………。」
「まぁ俺が言いたいのは
俺等が引退しても、変わらず
強いチームのままでいてほしい。
ただそれだけなんだ」
確かに、俺達が通う西城は
県内でトップレベル。
甲子園の夢にも近いチーム。
けど…俺がそんなチームを
まとめて引っ張ってくなんて
いくら野球のためだっても
まだまだ未熟者の俺じゃ
やりたくてもやれない。
「まぁ…残り少ない時間
頑張ろうな!!」
「はい!」
俺たちは、何時間も何時間も
バットを振り続けた。