王子様は外国人
パンパン。

桜野路さんが
白い手を叩き、
私達に
視線を向けさせた。


「さぁ、今から宿に向かうわよ。今回は、会社からホテル代が出るけど、一ヶ月以内に新しい住居を探さないと、ホームレス人生になっちゃうわよ。」


すると、
一斉に
エ〜という
不満の声が上がった。


「会社が住居見つかるまで面倒見てくれるんじゃないんですか!?」


貧乏青年
秋峰くんが聞き、
隣で、
良いとこの坊っちゃん
瀧野くんが
ウンウンと頷いている。


「私も詳しい話を聞いてないのごめんなさいね。」


とサラッサラな黒髪の頭をスイッと下げた。


そんなことありませんと
秋峰くんが
慌てて
頭を下げ返している。


確かに、
主任である
桜野路さんに、
頭を下げられるのには
誰でも
慌てるだろう。

私でも
慌ててしまうもん。
とか思いながら
私は、
彼らを

放置プレイ。


これ以上は
少し酷いかなと思い、
秋峰くんに声をかけ、
終わらした。

辺りを見ると、
明るかった
フランスの街が
いつのまにか暗くなっていた。


呆れた目をした
瀧野くんと
二人で
ホテルに着くまで
愚痴愚痴と言いまくってスッキリした。


ハッキリ
言って
彼らが
謝り返している間



“ヒ・マ”!!



だったのだ。


「そんなに、いじめないでくださいよ。」


秋峰くんが
泣きそうな顔して私を見てきた。

そんな
秋峰くんに
私は一言、


「だってヒマだったんだもん」


と偉そうに胸を張った。


私を除く
メンバー全員は

“じゃあさっさと止めればいいじゃん”


と思ったのは言うまでもない。
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