王子様は外国人

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厳つい顔した
お坊っちゃま瀧野くんは
そんな彼らを恐れ
私の足に隠れ
またブルブル震えている。


アンタ
仮にも
私より
年上の男のくせして
女の足に隠れるな!!


『よし!私が文句言いに行ってやろう』


ヤル気満々で
腕捲りした私を
必死になって止めようとする
瀧野くんに対して
桜野路さんは
アラアラと
ニコニコしながら笑い
秋峰くんは
言いに行ってやれ〜と
私を煽っている。


【すみません。私達のせいで】


「ハワード様!ハワード様が謝るべきことではありません」


甘いバリトンボイスの声が
聞こえ
ふと後ろを見ると
空港内で
女の子達の
黄色い歓声を
一身に受けていた
綺麗な外国人がいた。


『あなたはあの時の!』

「知り合いですか?」

秋峰くんが
可愛らしい顔を
クイッと傾けた。


『知り合いじゃないけど空港内で見たことある』


「あら?あなたは空港にいた……」


【すみません。私とお会いしたことありましたか?】


『あっ!いえ、お会いしたことありません。…ですけど空港でかなり注目されていたみたいでチラッと見てしまいました。』


【なるほど。あの時にいらっしゃったのですか。気づかずにすみません】


そう言うと
彼は
金色のサラッサラの頭を
下げた。
普通の人なら
ここで
感じの良い
好青年と
思うところだか
私はなぜか
その反対で
むしろ
イヤなやつと思っていた。

それが
顔に出ていたのか
ハワードと
呼ばれていた青年は
こっちへ視線を向けた。
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