焦れ恋オフィス
「今日、これを渡してプロポーズしようと思ってました」

怪訝そうに見ていた専務は、俺の言葉にはっとしたように指輪の入っているケースを手に取った…。

指輪をみる専務の表情は、次第に穏やかになっていき、俺の緊張感も少し緩んだ。

「…芽依は、戸部くんの気持ちをちゃんとわかってないと思うぞ…。じゃなきゃ、誰にも居場所を言うななんて言わないだろ…」

専務に返された指輪を見ていると聞かされた言葉に、理解できない息苦しさに固まってしまう。
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