焦れ恋オフィス



   *   *   *


病院での診察を終えた後、私は真里さんと別れてすぐに電車に乗って再び夏基の部屋に向かった。

病院で、おなかの中で育っている赤ちゃんの超音波写真を見たり心音を聞いたり。

お母さんになる温かさを少しずつ味わって、幸せな感情がわいてきた。

クリスマスには私に家族ができるんだという喜びが、予想外に大きくなってきた。

貧血という気がかりな事を追いやるくらいにその喜びは大きくて、妊娠した事への感謝だけが今は私の支えとなっている。

何度も超音波写真の小さな赤ちゃんの影を見ながら目の奥が熱くなるのを感じた。

私の赤ちゃん、私の家族。

夏基の赤ちゃんでもあるけれど。

その現実に思い至ると、ずきん、と胸は痛んで切なさで体は震えを帯びる。

マイナスな考えと落ち込みは、おなかの赤ちゃんには決していいわけじゃないとわかっているから、そんな震えをおしやるように気持ちを切り替える。

ぼんやりと車窓からの風景を見ながら気持ちを落ち着けていると、ふと思うのは。

お父さんである夏基にこの幸せを隠しておく事が、正しいのかどうかということで、その思いは次第に大きなものとなっていった。

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