月と太陽Ⅱ



この時ようやく今の状況が理解できた。


この霧の中で一人になってしまった事に。


エセルは不安げな顔で目の前にある薄暗い洞窟を見つめた。


ゴツゴツした岩は当たればとても痛そうだ。


奥はよく見えない。


霧は中まで入ってきていないようなのだが、闇で奥を見ることができない。


ヒューっという風が通る音が不気味に響いている。


エセルは奥が見えない洞窟を見つめて覚悟したようにキッと目を見開いてゆっくりと一歩、足を進めた。


ブーツのコッコッコッという音が壁にあたって反響する。


エセルは光[ライト]を前に突き出したまま、慎重に進んでいった。
< 104 / 172 >

この作品をシェア

pagetop