月と太陽Ⅱ



「イワン様とアクレス様は自分達が老い、子供が産めなくなることを恐れ、禁断の魔法である、命の魔法を使うことにしました。


しかし黒魔法の失敗は死を意味します。


残念ながらイワン様は生き返らせることもできず禁断の魔法によって亡くならわれたのです」


「でも……」

とエセルが考えこむような声をもらすと続けた。


「子供を必要とするならば手っ取り早い話、養子として誰かをもらえばいいのでは?」


「先代の王、イワン様は王家の規律を何より重んじていました。だから国民の支持を得ていたのです。


これは私の推測ですが、そのために王族でありながら僅か一ヶ月で亡くなった小さき王子、サラン様を生き返られようとしたのだと思います。


一ヶ月では物心をついていない訳ですし、ちゃんと王家の血も通っています」


イヴはエセルを見ながら淡々と説明した。


確かにその推測が一番正しいだろう。
< 144 / 172 >

この作品をシェア

pagetop