月と太陽Ⅱ

第五夜、さそりの毒





太陽が真上にくる頃には四人はもう橋の近くまで来ていた。


大陸の真ん中を通る大きな川の名前は『ベル川』。


初代王アルバニアがこの大陸に来たときからあると言われている川である。


川幅が広いため、大陸にはニ本の橋がかかっている。


エメル城へとつながっている『王城の橋』とユサへと続く『ベルガ橋』だ。


エセルたちはベルガ橋の手前の森まで歩みを進めていた。


しかし四人の足取りは重かった。


今朝見た夢がそれぞれの心をむしばんでいたのだ。


誰もが辛い過去をもっている。


それを見た四人は気持ちがまだ持ち上がっていなかった。


そんな中、一人エセルは標識に書いてあった言葉を思い出しながら考えていた。


今朝、四人が見た夢は偶然じゃない。


何か意味があるはずだ。


エセルはもう一度、標識の一行を思い出した。


"記憶を追う事は真実を知ると同じこと"


つまり自分たちは真実を知るために過去を見せられたというわけか。


誰が見せたかは分からないがエセルは分からない"あの木"だとなぜか思った。


木が人に過去を見せられるはずがないのに。


しかしエセルには何とも言えない自信があった。


何がそうさせるのかは分からないが。
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