3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「ちょっと早いけど母の日に」



「美雪」



「勘違いしないでよね。あたしは許してないし、今後も貴方を許すことはない。……雪村くんが言ったように他にあたしや広樹の母親はいないのも事実。広樹は貴方を知らない」



美雪、俺の名前呼んでくれた。



机に置かれた左耳用の傘のピアスを手にし、松本先生は全身を震わせていた。



「ありがとう……ありがとう」



「もう当分、これから先会わないと思うけど。あたしが言えるのは一言だけ」



顔を上げ天井を見つめて、静かに一言だけ。



“長生きして
孫の顔ぐらい
見に来なさいよね”



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