言霊師
「お、勇次!大丈夫?歩ける?」
「……」
立ち上がった彼は、ヒョウリの言葉に頷いたものの、俯いている。それに、どことなくふらついていた。
今、勇次の意識は戻っていない。体を動かしているのはヒョウリだ。
他人の体を、しかも思うままに操るのは難しい。故に、それが出来ない言霊師も多い。ヒョウリも、何の苦もなくこなしているわけではなかった。
(…ちょっとキツいな。早くここから出ないと。)
“動”の言霊は静止が苦手なので、集中しないとすぐに勇次の体が揺れ出すのだ。意識がない分、抵抗がないのだけが救いだったが、成人男性の体を歩かせるのなど初めての事。
「…頑張れ。」
そう、言霊に声を掛けた。
「……」
立ち上がった彼は、ヒョウリの言葉に頷いたものの、俯いている。それに、どことなくふらついていた。
今、勇次の意識は戻っていない。体を動かしているのはヒョウリだ。
他人の体を、しかも思うままに操るのは難しい。故に、それが出来ない言霊師も多い。ヒョウリも、何の苦もなくこなしているわけではなかった。
(…ちょっとキツいな。早くここから出ないと。)
“動”の言霊は静止が苦手なので、集中しないとすぐに勇次の体が揺れ出すのだ。意識がない分、抵抗がないのだけが救いだったが、成人男性の体を歩かせるのなど初めての事。
「…頑張れ。」
そう、言霊に声を掛けた。