言霊師
未だ俯いている勇次を気遣って、店員が顔を覗き込もうとする。目を閉じているのを見られると厄介なのでそれを慌てて阻止したヒョウリは、体を支えるのを手伝うように腕を掴み、店の外へ出た。
騒ぎを起こしたにも関わらず、料金を払わないで良い、と言ってくれた店長の言葉は優しげなものに聞こえる。
だが、ヒョウリはその言葉が本心でない事を見抜いていた。言霊を見れば、迷惑な奴だと思っている事がすぐに分かる。偽りや誤魔化しから生まれた言霊は、その色や消え方が、普通の言霊より暗く、輪郭もぼやけて薄い。
心にもないその言葉を背に、ヒョウリも上手に作り笑いを浮かべて去る。
「本当に、この世には…上辺だけの人が多いんだな。」
騒ぎを起こしたにも関わらず、料金を払わないで良い、と言ってくれた店長の言葉は優しげなものに聞こえる。
だが、ヒョウリはその言葉が本心でない事を見抜いていた。言霊を見れば、迷惑な奴だと思っている事がすぐに分かる。偽りや誤魔化しから生まれた言霊は、その色や消え方が、普通の言霊より暗く、輪郭もぼやけて薄い。
心にもないその言葉を背に、ヒョウリも上手に作り笑いを浮かべて去る。
「本当に、この世には…上辺だけの人が多いんだな。」