言霊師
―――…時の権力者。

そう伝えられているのみで、誰なのかは分からない。

そう付け足し、ムメはヒョウリを見た。黙って聞いているヒョウリは、その話を嘘や伝説だとは思っていない。信じている。そんな顔だった。

自分だったら、何処までが真実か疑いながら聞くだろう。なのに彼は、全てを受け入れていた。


「で、その人に知られてどうなったんですか?」


「あ、えぇ。…その人は、言霊を操れる力を欲していた。その為には神を殺しても良いと、そう考える程に。」
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