言霊師

「…で、お終い。」


「―――は?」


「“は?”じゃないわよ。私はここまでしか知らないの。」


いざ、ムメの家の秘密が分かる―――という直前に、ぶっつりと話を打ち切られたら、ヒョウリでなくとも間抜けな声を発してしまうだろう。

ただ、明らかなのは、ムメがココにいる事。

という事は……


「ただ、お察しの通り、願いは聞き届けられた。だから私の家は続いているの。
でも…」


一旦言葉に躊躇したムメは、苦々しい顔を惜しげなく見せた。


「無償ではなかった。」


重い言霊が浮遊するのを消す程の余裕は、

なかった。
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