言霊師

「去年の誕生日、この力を授かって…一番初めに、兄の敵を打った。それからは、もう仕事の事だけ考えてきた。
向こうで会ったら、きっと兄に怒られますね。」


それを聞いたヒョウリは、戸惑った。力を得たのが、“去年”?力を授かるのは20歳…???
という事は、ムメはまだ


「二十歳…!?」


「え?」
「何事だ?」


完璧にタイミングのズレたヒョウリの登場に、二人の視線が突き刺さる。
今はあまり重要ではない、ムメの歳について食い付いてきたヒョウリを、一言主は楽しそうに罵った。
その横で、ムメが本当に楽しそうに笑っている。


そして、笑い声が言霊となって、部屋中で踊り始めた。
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