月と太陽の恋愛関係

夕日はすっかりその姿を沈め、変わりに月が昇っていた。


「ワオォー…」

どこからか犬の鳴く声が聞こえる。



学校から俺の家までは2k以上もの距離がある。

それでも俺は決して自転車と言う物を使わない。


なるべくゆっくりと自分の時間を過ごしていたいから。

『バキッ』

狭く暗い路地からはいつものように道行く人を殴る音が聞こえる。


『チャリン』

それから小銭の落ちる音も、


この世界は汚(けが)れている。


憎しみ、

恨み、

金、

欲望、

全ての物が、感情が、消えてしまえばいいのではないだろうか。

人など居なければいいのではないだろうか。

この世界が消えてもいいのではないだろうか。


人を愛すること、

恋をすること、

幸せ、

すべてがこの空の闇の中に消えてしまえばいいのではないだろうか…


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