魔法使いですが、何か?
はぁ、と先輩の失態に
ミッシェはため息をこぼす

「先輩、さっき『ノロケ』だの
なんだのくだらない事を
言っていたじゃないですか
痴話喧嘩とは
つまり、そう言った喧嘩です」
意外にもミッシェは
普通に呆れながらティルに
教えていた

へぇ…アイツの事だから
そんな事も知らないんですか
可哀いですねティル先輩

とか言うかと思ったのに…
普通な所もちゃんとあるんだな

「これだから留年するんですか
とても納得しました」

前言撤回
いつものミッシェだ

例え先輩であろうとも
尊敬しなければ足蹴にする
恐ろしくも美しい
ミシェリーゼの本領発揮だった

いや、そんな本領なくていい

「ティルちゃんはもう
怒ったですよっ!
今度会ったら
その綺麗な顔に
泥パックを塗ってあげるのですよ!!」

それは実に美容に良さそうだ

間の抜けた捨て台詞を残して
ティルは僕らの横をすり抜け
母さんに一礼をしてから
丁寧に階段を降り
玄関から出ていった


…魔法使わないのかよっ!


僕のツッコミもむなしく
ちっさい嵐は去って行った

朝の爽やかな20分間の出来事
これから、普通じゃない
生活が始まるらしかった

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