【完】俺の守護霊
真っ暗な室内でベッドの上に寝ている翔。
呼吸がすごく辛そうに聞こえてくる。
翔は右手を目を隠すように置いてる。
そっと翔の頭の横まで近づく。
寝ていると思っていた翔は寝ていなくて。
虚ろな感じで目を閉じそうになっては開け、閉じそうになっては開けを繰り返していた。
病人に対して笑っちゃいけないと思うけれど、可愛くて笑ってしまう。
だって小さい子が眠たいのに頑張って起きていようとしてるみたいなんだもん。
しばらく観察していたあたし。
すると、翔が口を開いた。
「美緒…?いるのか…?」
見えないはずの翔がそう言ってくれた。
見えなくてもあたしの気配に気付いてくれてる?
いるよ?
ここに、翔の顔のすぐ横にいるよ?
「美緒…戻って来い…」
辛そうな呼吸をしながら翔はそう言って目を閉じた。
“戻って来い”
それってあたしに戻って来て欲しいって事だよね?
あたし、戻って来てもいいの?
翔の望んでいた平凡な生活じゃまた無くなっちゃうよ?
あたし、うるさいから翔また疲れちゃうよ?