旦那様は社長
それでも堂々と『セクハラ』と言えないあたしは、所詮雇われ社員の身。
滅多なことは口にしない方が得策であることを、秘書課に異動してからのこの1年で学んだ。
それにしても、抱きつきすぎじゃないでしょうか。
「……会長?」
ほんの少しだけ、声色を変えてみる。
そんな時、
「よし!!」
突然勢いよく顔を上げた会長と、もう少しで唇が触れ合いそうになって。
――ドンッ!
「「会長ぉーーッ!?」」
またしても失態を演じてしまったあたし。
会長を思い切り突き飛ばしてしまって。
今度こそ本気で“クビ”を覚悟した瞬間だった。