【探偵ピート・ジャンセン】


ターニャは傍らで雑誌を
捲りながらまるで
スポーツドリンクを飲むかの
様に“彼女の糧”を
味わっている。

私は現地に到着する迄の間、
キャビンアテンダントから
ブランケットを受け取り
束の間の眠りに就いた。


『昔に比べたら霧が
薄くなったわね‥。』

『あぁ、1956年に
空気清浄法が制定されて
大気汚染が少なくなった
からね‥。
以前、何かで読んだよ。』


その後ヒースロー空港に
降り立ち、二階建てバスの
行き交う10月下旬の街並を
今夜の宿を目指して我々は
歩いていた‥


『ターニャ、悪いんだが‥
腹ペコなんだ。
機内でずっと眠っていた
からな。
ちょっと軽い食事をして
来たいんだが‥。』


『いいわ。
私も一軒寄ってから戻るわ。』


ストリートの左と右、
二人はそのまま別々の
ディナーへと出掛けた。



< 19 / 97 >

この作品をシェア

pagetop