【探偵ピート・ジャンセン】


ターニャと別れた私は独り
通りを歩いていた。

ロンドンの市街を歩けば
至るところでパブに
ぶち当たる。

私は通り沿いに2、3軒
建ち並ぶ内の一番近くにあった
一軒のパブの重たい木の扉を
開けた。

時刻は既に夜の10時を廻ろうと
していた。


さほど広くない店内では、
あちらこちらで『Cheers!』の
掛け声や、談笑する客の声が
溢れていた。

この店は比較的新しい店
らしい。

客層も若い連中が多い。

私はカウンターに向かい、
エールをハーフpintと
シェパード・パイをオーダー
した。

そしてグラスを受け取ると、
窓際の隅にある小さなテーブル
と、丸椅子の席に着いた。


グラスの中の温い液体を
ひとくち喉元に流し込む…

直ぐ様スコッチにしておけば
良かったと後悔した。

暫くして冷めたパイが運ばれて
来て、程なくして最初の鐘が
鳴らされた。

これは閉店が近いと言う
合図だ。

次が鳴れば、手持ちの飲み物を
飲み干して、お引き取り
願おうと言う意味だ。

話し好きの客が一杯奢りに
来る前に、さっさと食事を
終えるとしよう。


冷えたパイを適当に摘まみ、
二杯目のスコッチで流し込むと
私は店を後にした。



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