†Orion†〜Nao's Story〜
学校の帰りはいつも一緒。
学校が休みの日は、いつも会っていた。
それ以外で、彼女との時間を器用に作っていたの?
あの日――
あたしを抱きながらも、先輩の頭のなかに存在していたのは誰だったんだろう。
あたしに発した“好き”と言う言葉は、純粋な思いだったのかな……。
辻さんという当事者を目の当たりにして、不安の波に押しつぶされそうになる。
先輩の教室に行くはずだったあたしの足は、そのまま踵を返し、自分の教室へと歩き始めた。
「……斉藤」
三年生の教室がある三階から、自分の教室のある二階へと続く階段。
階段を下り終えたところで、不意に名前を呼ばれ、顔を上げる。
「……森谷……、なんでここに……」