†Orion†〜Nao's Story〜
「俺、こいつのこと好きなんですよ。で、長谷川先輩から奪おうといろいろ手を尽くしているんですよねー」
……あたしは、この数分間のあいだに、いったい何度“はい?”と首を傾げただろう。
森谷の言葉が、カマをかけていることくらい分かっている。
だけど、あまりにも突拍子すぎる。
あたしと先輩はまだ付き合っているんだよ。
あたしはまだ、先輩を好きなんだよ。
……なのに。
カマをかけている森谷を見て、あたしは口を挟むどころか、先輩がどう出るのかを待っている。
しばらくの沈黙のあと。
先輩の視線が、森谷からあたしに移った。
「……森谷が言ったこと、本当なのか?」