†Orion†〜Nao's Story〜
先輩の、憂いを帯びた瞳に惑わされそうになる。
頷くべきか、否定するべきか。
もしも否定したら、きっとまた、先輩のそばにいられると思う。
同時に、先輩に関する噂もつきまとう。
――自分が好きになった人を信じる。
そういう信念も、辻さんの件が絡んだことで次第に揺らぎ始める。
「…………」
あたしは、真実を知りたくて、初めて先輩に嘘をついた。
無言で頷いたあと、重苦しい沈黙が流れる。
「……分かった」
ほんの少しの沈黙を破ったのは、先輩の落ち着いた声だった。