†Orion†〜Nao's Story〜
「一万円!」
さっきとはえらく違う金額に、今度はあたしの方が面食らってしまう。
「釣りは取っとけ……って言いたいところだけど、返してくれよ? 最近、優菜が小遣いに厳しくてさ」
「はいはい。ちゃんと返すよ。ありがとう」
満足そうにお礼を言うあたしに、お父さんは顔をくしゃくしゃにさせて笑った。
ピアス……。
開けたら、先輩なんて言うかな。
鏡の前で、さくらに貰ったピアスを耳に当てながら先輩のことを思う。
ピアスをつけている姿を想像するだけで、自分がほんの少しだけオトナになったような気分がした。