†Orion†〜Nao's Story〜
向かう先は、三階にある先輩の教室。
勢いで来ちゃったけれど……、三年生のクラスばかりが揃う三階に行くのは初めてだ。
なんだか……あたしたち二年生の階とはまるで雰囲気が違う。
たった一年違うだけで、女子の先輩たちは妙にオトナっぽい。
コドモが背伸びしたようなオシャレじゃなくて、落ち着いた“オトナの雰囲気”ってものが漂っている。
男子の先輩たちも、同じような感じだし……。
学年の違うあたしは、三年生から好奇の視線を浴びる。
この学校、制服のリボンの色が学年ごとに違うもんだから、すぐにあたしの学年がバレてしまうから。
先輩のクラスは一組……。
よりによって、いちばん奥にある教室。
先輩の教室に行くまで、あたしは見世物のようなこの視線を受け続けなければいけない。
「……あれー? 奈緒ちゃんだよねぇ?」
ふと、そんな声が聞こえてきて、あたしは足を止めて振り返った。